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2018.12.04

行列の出来る店@ワイキキ

ハワイのオアフ島、アラモアナ公園から西に向かって大規模な開発が進んでいます。ワードという新たに開発の進んでいる地区には、新しいコンドミニアム、whole foods(Amazonが買収したスーパーマーケット、品揃え豊富で新鮮な素材を扱っていることで有名)ショッピングゾーン等が広がっており、昔は倉庫地帯であったこの場所がオシャレな一帯に変身を遂げつつあります。 この開発はさらに西に延びており、何年か先(2025予定のようです)にはカポレイ(真珠湾西側)を起点として、空港を通りハワイ最大の人気商業施設「アラモアナショッピングセンター」まで電車が通るそうです。アメリカはハワイに限らず車社会が常識で、そもそも電車が通ることが珍しいので、これは画期的なプロジェクト。電車はワイキキ地域には乗り入れないので、ワイキキのホテルに宿泊する観光客はアラモアナで下車してタクシーかバスに乗り換えるということになると思われます。 ワイキキエリアでいつ行っても行列が出来ている店があります。1つはカラカウア通りに面したEggs’ Things。卵を使った朝食と、ホイップクリームとナッツが贅沢に乗っているパンケーキがウリの店。価格は$10~$13とお手頃で、大きく開いた窓からはワイキキビーチが目の前というロケーション。同じ食事をするなら景色の良いところを選びたい、ということで並んででも待つということなのでしょう。ホイップクリームの盛りっぷりも人気の秘密と思いました。 もう1つは道路を一本内陸に入ったクヒオ通り沿いにある丸亀製麺。ハワイにうどんはミスマッチな感じがするので、何故こんなに人気があるのか正直、理解に苦しんだ挙句メニューを見てみました。うどん、てんぷらなど日本よりも値段は高めですが、物価の高いハワイにあってこの値段は価格破壊の域にあり、出来たものを自分でテーブルに持っていくセルフ方式なのでチップも不要。 日本の料理は高いのが常識となっているのでこの値段はウケるのでしょう。開店時間も7:00~22:00と、いつ行っても並びさえすれば食べられるので時間を気にする必要もありません。 番外編は、Ruth’s Chris Steak House.ワイキキ・ビーチ・ウオークの2階。17:00開店ですがその前から店の前には行列が出来ています。ステーキハウスなので値は張りますが実に美味。米国農務省認定の最高級熟成牛肉を980°で焼き上げた肉が供されます。店の説明によれば、この店はもとニューオーリンズに住むルースさんが自分のレシピによるステーキハウスを開設するにあたり、自宅を抵当に入れて開始し、同地で営業したところ高い評判を得て、全米各地に展開するに至ったとのことです。 どの店も国籍や人種に関係なく行列ができる店ということになりますが、いくつか共通項があるように思います。一言で言うと4つのPがターゲットとする顧客の基準にマッチしているということです。(マーケティング戦略4つのP:price/place/product/promotion) どの一つが欠けても行列はできないか、長くは続かないということになるのだと思われます。
2018.10.27

Sound Cruising 2018

六本木、赤坂にあるライブハウス13軒。チケット代5000円也で5日間、期間中なら行ってみたいところに何回でも、というライブミュージック大サービス企画。今回初めてチケット購入し、何軒か行ってみました。 驚くなかれ、どこのライブハウスも満席。ジャズのみならず、ブルースやpopsなど幅広いジャンル、店ごとに出演者も多士済々、1杯1000円の飲み物をオーダーすること以外、何のコストもかからないのでこれまで行ったことのなかったライブハウスにも気軽に足を運ぶことができます。 この企画の優れているところは、客にもミュジシャンにも、店にも(多分)メリットがあるところ。通常、ライブハウスにはミュージック チャージ(3000円~4000円)があり、加えて客は飲食費を払って音楽を楽しむということになっています。1軒の店で腰を落ち着けてひいきのミュジシャンの歌や演奏を聴くということになるので、他のライブハスやミュジシャンに巡り合うチャンスは制限されてしまいます。しかし、この企画に乗っかるとこれまで知らなかった店やミュジシャンをたくさん知ることになります。 また、特別なPRをしなくとも見たり聴いたりしてもらう機会をどんどん増やすことが出来るので、ミュジシャンにとってもありがたいイベントとなっていると思われます。音楽の場合、実際に来てもらって聴いてもらい、雰囲気を味わってもらわなければその魅力は十分に伝わりません。まさか道で客引きをするわけにもいかず、同じお客に足を運んでもらうにも限度があるでしょうから、見込み客を増やすのが一番良いのです。しかしネットに写真を載せたりブログを書いたりによる新規開拓は限度があります。百聞は一見にしかずであります。 ライブハウスにとってのメリットはずばり、新規客開拓です。大体においてライブハウスは敷居が高く感じられ、気軽にひょいひょいはいるような所ではないというのが実感です。 固く閉ざされたドアの向こう側でどのような世界が繰り広げられているのかわからず、また一度入ったらなかなか抜け出しにくい雰囲気を感じて一歩踏み込む勇気を持てずにいる音楽愛好家も少なくないと思われます。そのような気持ちのバリアーを振り払ってくれる効果が期待できます。 もう一つ店にとっての経営上のメリットは、観客回転数が高くなることです。お客は1杯飲んで、その店での演奏を堪能したら、また別の店に出向いて1杯飲みながら違うミュジシャンの演奏を楽しむということが気楽にできるので、2~3軒ライブハウスのはしごをするのが普通です。店からすると1顧客の滞在時間が短く、入れ替わりでお客が入るので、顧客数は増えます。客単価は減っても、回転数増加で収入は確保できるでしょうし、各店ともcash on delivery(飲むたびに現金で決済)で統一しているので店舗運営コストも抑えられます。万一、十分に回収できなかったとしても広告宣伝費と考えれば安いものでしょう。 世の中は音楽の世界に限らず、異なる個人の好みを手軽に安く満足させられる方向に動いています。選択肢は多いほど良いというものではありませんが、各自の趣味嗜好にあった選択が出来やすくすることが、結果的にビジネスの繁栄にも繋がるのではないかと思わされたクルージングの一夜でした。
2018.10.09

ボケ知らずの歩き方

高齢化とともに、認知症のリスクがますますクローズアップされるようになってきました。 人間だれしも、ただ長生きすることだけを望んでいるわけではなく、健康で生き生きと人生を楽しめてこその長寿と思っているはずです。 最近テレビでは健康番組がやたら目につきます。認知症に限らず、それぞれ専門分野の医師が出演して懇切丁寧な予防法や原因説明をしてくれるのでつい観てしまうという方も多いのではないでしょうか。日本が世界の中でも長寿国家である理由の一端を間違いなく担っていると思います。 病気になる人が増えると医療費が社会保障費を押し上げ財政を圧迫するので、健康なお年寄りが増えることは日本にとっても良いことです。娯楽として見ることが、個人にとっても国家にとっても直接的な利益をもたらす番組を惜しげもなく放送している国は多くはないと思われます。 ただ、番組の数に比例して扱う病気の種類や病気にならない為の対処法等が増加の一途をたどっているため、健康オタクのようにならないとも限りません。また、長寿は年金の支払い増加という財政負担が発生することも事実ではあります。 政府は首相を議長とする「未来投資会議」で雇用年齢を65歳以上に伸ばす、70歳を超えて公的年金の受給を開始できる制度改正等を検討してゆくようです。年金をもらってのんびり余生を送るという希望を胸に頑張ってきた方々には、いささか肩身の狭い社会になってゆくかもしれません。 先日偶然に見たテレビで、あることをすると認知症の発生率が1/7になったというのがありました。認知症は全身の血流が悪くなって、これにつれて頭の血流も悪くなることが原因の一つとなるとのこと。その為にやるべきは、一日5,000歩歩くことだそうです。 ワタシも徘徊と間違われないようにしながら、歩く時間をのばしてみようかなと思ったのでした。
2018.09.10

一杯6000円のコーヒー

8月に入ってトルコの通貨リラが一日で20%も下落しました。トルコの対外債務は4500億ドルを超えており外貨準備高の4倍近い水準にあります。通貨が下落すると返済しなければならない外貨建て借金が膨らみますが、返済に充てられる外貨が借金の四分の一しかないので、貸付の多い外国銀行(スペイン、フランス、イタリア)に懸念が広がっています。またトルコの国債、企業の発行した債券はデフォルト(利払い不能)の恐れが出てくる為、価格が下落して投資家は損失を被っています。 おカネの価値が下がると輸入価格が上昇する為、国内でインフレが発生します。(トルコの8月のインフレ率は18%)インフレはおカネの価値が下がることを意味するので、20%下落した日には多くの人がリラをドルやユーロ等に替えに走りました。この時コーヒーを飲んでいて出遅れた人は、瞬く間に6,000円の損失を被ったとのことです。(日経新聞による) タンゴの国、南米アルゼンチンは過去に何度かデフォルトをおこしていますが、IMFの支援を受け入れて一息ついていたところでした。そこへトルコリラの大幅下落のニュースが入りペソに波及、あわてた中央銀行は政策金利を大幅に引き上げましたが、効果がないばかりか悪化してしまいました。ペソは年初と比較して50%も下落、インフレ率は30%を超えています。 通貨下落は伝染します。特に経済的基礎体力の弱い新興国には瞬く間に波及します。南アフリカのランド、ブラジルのレアル等も月間で10%程度の下落です。今後、貿易による悪影響が中国に及ぶと東南アジア諸国の通貨に波及していくことは避けられないものと思われます。 1997年に通貨危機がありましたが、根本原因は今回も同様です。すなわち、米国の金利引き上げが先進国のマネーをドルに引き付け、新興国に流れ込んでいた資金が流出するという構図です。新興国からは資金が流出するばかりでなくドル建てで借りていた債務が膨張して、借入したとき以上の返済を迫られそれらが自国通貨の下落につながるという循環です。 リーマンショックからちょうど10年目の今年、また同じような危機が起こらないことを願うばかりですが、地震と同じように長い年月をかけて歪みがたまり一挙に跳ねるという現象は、マクロ経済にも当てはまります。 米国の金利引き上げは、現在は好調な米国経済がインフレに向かうことを防ぐための手段なので実行されねばなりませんが、問題はトランプ政権が貿易に関税をかけてモノの流れまでも歪ませていることです。金融と物流の歪みが一挙に跳ねたとき、世界はどのような景色を見ることになるのでしょうか。 世界のどこかで、トルココーヒーより苦く、6000円よりも高いコーヒーを飲まねばならない国が増えないことを祈りたいと思います。
2018.06.09

オリンピック後の日本

オリンピックが終わった後、日本国内にはインフラ分野で有望な投資先がなくなってゆくのではないかと危惧されます。また、2025年には65歳以上が人口の30%に増加、高齢化が一気に進むと報じられていますが、労働人口が減り高齢者が増えるということは、税収が減り、社会保障を中心とする負担は増えることを意味します。こうした問題は財政赤字を拡大させるとともに経済力を低下させます。今後の日本の行く末に期待はもてるのでしょうか。 一方、日本にはオリンピックまでにインフラ開発や交通手段のKnowhow蓄積が加速し、過去の貧弱な道路やうんざりするような渋滞を解消してきた知恵や経験が山積みになっているはずです。例えばC2(首都高中央環状線)は日本で一番長い山手トンネル(8.2Km)を開通させ、都内の渋滞を避けながら目的地までスムーズな運行を可能にしました。C2の外側には東京外かく環状道路が完成しつつあり、さらにその外側には圏央道が出来上がっています。その結果、C2に乗れば都内ばかりでなく地方へも、国道や県道を経由することなく行くことが出来るのです。中央高速、関越道、東北道、常磐道、東関道、東名高速などへのアクセスもスムーズ。地方への物流や、レジャーの連絡道としても一挙に利便性が増したと実感できています。 世界を見渡すとこうした分野に工夫が求められている国々は枚挙に暇がありません。 例えばバリ島は世界に冠たるリゾート地ではありますが、リゾートに至る道幅は極めて狭く渋滞は日常茶飯事。排気ガスによる空気の汚れや車線すらない一本道の道路など、事故や危険と隣り合わせになっている状況。現状を放置している限り行き詰まることは明白で、アジア諸国にはこのような問題がいたるところに転がっています。 タイ、ベトナム、マレーシアなど回ってみれば気付くことですが、共通して解決されねばならないながら放置されているのが道路交通分野です。これら新興国は押しなべて人口増加のスピードが速い。このままだと人口が減少していかざるを得ない日本とは、対極にあります。またアマゾン効果等による物流増加対応の為の道路依存は今後も世界各国で高まる一方でしょう。 こうした中、日本に求められているのは単に工事を受注するということだけではなく、「渋滞を解消する」という施策とパッケージにした解決策提供であると考えます。 日本が過去培ってきた渋滞解消のknowhowには高い経済価値があると評価されると思います。3つの環状道路が計画されたのは東京五輪の前年、1963年(日経新聞による)日本の場合、土地の買収等に時間がかかり10年近い年月を要した訳ですがこうした問題の少ない新興国では、もっと短期に解消させることができることでしょう。中国が一帯一路政策で西へと開発の手を伸ばすのを手を拱いてみている余裕は日本にはありません。「渋滞解消」をビジネスとして海外に提供することは双方の利益となるものと思われます。
2018.04.12

「嫌われる勇気」はビジネスに役立つか?

マズローとアドラーは承認欲求について正反対の立場を採っています。前者は人間の欲求の最高位に自己実現欲求を置き、そこに至るまでの一段階として承認欲求があるとしています。マズローの見解に従えば、人から認められたいというのはヒトとして当然の欲求ということになるのでしょう。 一方、アドラーは人から認められることに執着することが不幸につながるので、そうならない為にも「嫌われる勇気」をもつこと、これにより承認の欲求から自由になれるとしています。人に認められることを求めるより他者への貢献感が幸せにつながると考えているようです。フェースブック等の「いいね」の数が人間の価値の尺度という主張がありましたが、真向反対する立場だと思われます。 ビジネスの目的は自社製品やサービスを認知してもらい購買に結び付けることにあるので、出来るだけ多くの人に良いものと認めてもらわねば仕事として成り立ちません。多くのデータを分析してどのようなニーズがあるのかを導き出そうというのが最近のビッグデータ隆盛の背景です。従ってマズロー的承認欲求に執着するのは自然なことではあります。 一方、創作や芸術を追及している人達にとって重要なのは自らの中にある表現欲求に忠実であることです。たとえ人に認められなくとも自分の拘りを優先したいというのが創作者の本能なのだろうと思えます。不幸にも作品が世に受け入れられず、死後になってようやく世間が高い評価を下すようになった、という例は数多あります。世間に妥協しなかった彼らは「嫌われる勇気」を実践したということなのでしょう。 昨今のビジネスにおいて勝ち組となっている企業の中には、アドラー的要素を組織の中に組み込んで他との差別化を図っている企業が出てきています。必至になって顧客ニーズをリサーチしこれに応えようとするよりは、世の中にない新たな商品を提案して膨大なマーケットを自ら作り上げてしまうというスタイルです。 世の中にないもの、ということになると当然のことながらビッグデータをいくらリサーチしても何も出てきません。そこで、社員の労働時間の一定割合を本業の仕事と全く関係ないことに費やすことを許すことで新しいブレーク スルーを産みだそうということが試みられます。 アドラー的特質を持つイノベーターが社内から多く輩出されるような企業風土を作ること、それが、事業優位性の維持につながる時代に入っているのではないでしょうか。
2017.08.19

フレンチ・クオーターの熱い夜

日本国内の音楽ライブ市場は2010年から2015年の5年で約2倍に拡大,(1600億→3400億)2020年以降には座席供給量が不足すると予想されています。(ぴあ総研調査)CD販売が縮小する一方、ライブには多数が足を運ぶというモノからコトへの流れ。 ライブビジネスのこの流れを一層加速させ定着させるには何が必要とされるでしょうか。 言うまでもないことですが、ライブ運営に必要なのは集客力。音楽好きが多数集まってライブ演奏を楽しみ、そこで飲食し、帰りがけにCD等物品を買ってくれれば利益は出ます。問題は2つあり、一つは集客力のあるミュジシャンは限られていること。テレビ等のメディアを通じて知名度の高まったミュジシャンには集客力がありますが運営者にとってはコスト高となり、加えて会場費、宣伝費などのリスクを抱えることになります。もう一つはジャンルがライブ会場によって限定されてしまうこと。殆どのライブハウスはジャンルが決まっており、ジャズライブハウスにビートルズ(そっくりさん)が出演することはなく、ロックのライブハウスで4ビートのジャズが演奏されることもありません。従って客はどんなジャンルを聴きたいのか、だれの演奏を聴きたいのか等を決め、その後出かけて行くという面倒なステップを踏むことになるでしょう。 ちょっと思い立ってライブにでも、と思い立った人のおそらく半数が今日は暑いのでまた今度、雨が降りそうなので次回に等ということになっているのではないかと思われます。 アメリカはミシシッピー州、ニューオリンズのフレンチ・クオーター地区にあるバーボンストリ-ト。このストリートの両側にライブハウスが軒を連ねており、演奏されている音楽はジャズ・R&B・ブルース・POPS等多岐に亘っています。 面白いのはどこも扉が開けっ放しとなっていること。従ってお客は自分の好みの音楽が聞こえているライブハウスに入って音楽を楽しみ、満足したらまた別の店に入るというライブハウス巡りが好きなだけ無料で出来るということです。お客は中で売られているビールを飲んだり、回ってくるバケツにチップを入れたりします。(ビールは有料だが特に高くもなく、チップは小額 でも入れなくとも良い。)空腹を覚えたら同じ通りに何軒もあるオイスターバーやレストラン、ファストフード店など好きなところで食事をして、またライブ巡りに行けば良いのです。 当然お客の滞在時間は長くなるので多額のお金が使われ、世界中から観光客を含む音楽好きが集まってくるので1年中人の波が絶えることがありません。ミュジシャンは耳の肥えたお客を引き付けられるよう切磋琢磨するのでレベルはどんどん高くなり、ストリートの店舗側もミュジシャンも毎日コンスタントに落とされる多額の$によって潤うという仕組み。有名どころの演奏を聞きたければバーボンストリートから少し離れたところにBB KING BLUES CLUBのようなライブハウス(有料)もあります。 地域振興においてヒト・モノ・カネの順番が逆というケースが散見されます。まずカネ(やファンド)を用意し膨大なコストをかけて箱モノを作り、しかる後に集客を図る。ところが往々にして思ったほどヒトが集まらず立派な建物が野ざらしにとなり投資が無駄に終わるというアレです。 バーボンストリートのライブハウスの建物は超豪華とは言いかねるグレードですが、演奏されている音楽レベルは高く、レストランの食事も満足のいくものでした。つまり所謂コンテンツ・ファーストの徹底が多くの顧客を引き寄せるというモデルです。 日本においても、音楽に特化したオトナのスポットとして運営するのに大いに参考になるものと思います。 また世界に発信すれば国内の音楽好きばかりでなくより多くの海外観光客を呼び込め、インバウンド需要を更に大きなものとすることができることでしょう。地域、ミュジシャン、飲食店、ライブハウスの四者全てにとって有益な仕組みたりうるではないか、と熱く思ったフレンチ・クオーターの夜でした。
2016.12.02

トランプは、めくってみなけりゃ判らない

トランプ氏が大統領選に勝利した翌日、朝刊を見ると「今後成長率を現在の2倍に引き上げる」との公約が発表されていました。「アメリカを再び偉大な国にする」というキャンペーン標語は何度も聞いていましたが、「メキシコとの国境に壁を作る」とか「移民を本国に送還する」など荒唐無稽な発言の印象が強すぎて、どのようにアメリカを偉大な国にするのかをまともに聞く気にもならず、本人も語らなかったと思われます。 これまでのところ発表されている具体策は経済政策(貿易を除く)に関してみる限り合理的なので、もっと早く語ってほしかったと思っている人は多かったのではないでしょうか。減税と財政支出で経済を刺激して持続的成長につなげるという施策ですので、ここまで株価が上昇してきたのに不思議はありません。 問題は為替です。選挙期間中トランプ候補は一貫してドルは高すぎると主張してきましたし、金利引き上げを示唆したFRBのイエレン議長をクビにするとまで言っています。しかしながらトランプ氏の施策には大いなる矛盾があります。具体策にある経済政策が奏功し、経済成長の結果インフレ率が上昇すれば米ドルは高くなるのが道理です。実際、現在のところ米ドルはほとんどの国の通貨に対して上昇しています。しかしトランプ氏は米ドルを安くしたいと言っているのです。どのようにその矛盾を解決するのでしょうか。 主たる方法は2つ考えられます。①FRBに圧力をかけて利子率を経済成長率以下に抑え込む。②主要国を集めてドル安、主要国通貨高となるよう誘導する。 いずれも経済的合理性を無視した危険な方法で、結果としてバブルを引き起こす可能性を否定できません。①は米国内にコントロール不能なバブルを発生させる恐れ、②は米国の要求を受け入れた国がバブルに巻き込まれるという可能性です。 ②は過去、日本で実際に起きた事実です。1985年レーガン政権が貿易、財政の双子の赤字を解消する為、各国財務大臣を呼んで決定されたプラザ合意。目指したのはドル安でした。当時、日本の当局はこの合意を実行する為円買いドル売りを、米国は金利引き下げを行いました。この結果円高が急激に進み日銀は金利引き下げを継続して行なった為、市場に溢れ出たお金(過剰流動性)が株や土地に流れ込んで異常な高値を形成するバブルが出現したのでした。 本来、輸出が好調で経済が活況なら金利は引き上げられねばなりません。にもかかわらず米国の円高誘導への要請に応じて、逆に金利を引き下げてしまったことがバブルを誘発したというのが歴史の示すところ。その後のバブル崩壊により日本は20年以上にもわたるデフレ経済に苦しむことになりました。他国からの要請に対してどのようなスタンスで臨むのが国益に適うのか、真剣に考えなければならない実例だと思います。 ドル安に関してはもう一点、自己実現的に達成されてしまうケースが考えられます。保護主義に基づく貿易収支の悪化に財政出動による財政悪化の加わった、いわゆる双子の赤字の拡大。現時点でも既にNAFTA見直しやTPPへの不参加表明という保護貿易主義を前面に押し出しているので、やがては自然にドル安とならざるを得ないという見方もできるでしょう。 来年1月にはトランプ大統領が誕生することが決まっています。米国第一主義を掲げるトランプ政権が対外的にどのような(無謀な?)政策を打ち出してくるのか今のところ全くわかりませんが、世界にとっての経済合理性に則ったものであるか否か、この観点から注意深く見守っていかねばならないと思います。
2016.03.14

「マネー・ショート 華麗なる大逆転」感想と疑問

映画はリーマンショック発生の原因となった米国不動産バブルと、そうした不動産への抵当権担保証券(MBS)の欠陥に気付いたヘッジファンド・マネージャーがこれを売るべき(ショート)との確信を持ったことから、同じ効果を発揮出来る関連商品(CDS)を使って勝負をかけ勝利するに至ったプロセスを描いた実話ストーリー。 リーマンショックがどのように引き起こされたのか、その引き金となった金融商品はどんな欠陥を持っていたのか等、難しい話を分かりやすく解き明かしています。専門用語は美女が出てきて解説してくれる等の工夫もあって、2時間超の映画を退屈することなく楽しめました。(美女の裸体と手にしたシャンパンにはグッときて解説の内容は殆ど頭に残っていませんが。) MBSの欠陥に気付いて「ショート」にかけたヘッジファンド・マネージャー達の心理状況が見どころです。不合理であるとの確信をもってCDSを仕入れる為訪問した投資銀行では、自らの見解を説明するや、そんなはずはないと馬鹿にされ変人扱いされます。必ず下げると確信していたMBSは上昇を続け、組成したファンド利回りは悪化の一途。出資者からも背を向けられ返金を求められ、訴訟まで起こされます。 最終的には「ショート」にかけた少数派の判断は正しかったことがあきらかになり、価格は暴落を始めます。しかしMBS関連商品を大量に保有、CDSを提供等していた証券や銀行には莫大な損失が積み上がり、世界中のカネの流れが止まる寸前の大パニックに陥ります。「ショート」にかけたヘッジファンドは大きな利益を手にするのですが、世界を恐慌寸前まで追い込むきっかけを作った罪悪感のようなものを内包した苦い勝利であったように描かれています。 この映画は一度観ただけなので、どこまで正確にお伝え出来ているかわかりませんが、個人的な感想と疑問を書いておきます。 (感想) マーケットの趨勢に逆らって投資することのストレス、そして何よりも権威に対抗して自らの判断を貫き通すことの過酷さなどが体感できる映画でした。 (疑問) 格付け機関(スタンダード&プアーズやムーディーズ等)がMBS等のリスクを正当に評価し、妥当な格付けをしていれば不当な価格、関連商品の過剰な拡大は防げたはずです。分析して妥当な格付けを行い、投資家に情報提供するのが仕事である格付け機関が何故ヘッジファンド・マネージャー以下の判断しか出来なかったのか、不明です。
2016.02.01

黒田さんが偉いワケ

日銀の役割は「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」(日銀法2条)こととなっています。日本の現状を見ると、インフレは1%以下に収まっており、デフレからは脱却しつつあります。物価は安定しており、国民経済は健全な発展に向かっているように見えます。日銀はその役割を果たしているということになるのでしょう。 今回(2016.1.26)、黒田日銀総裁はマイナス金利を導入する旨発表しました。あえて過激な政策を導入する必要があるのか、今回の決定は法の理念を逸脱しているのではないかとの批判もありうるでしょう。 現在の外部経済環境を見るに、中国を始めとする新興国の経済が予想以上減速しており、世界の株式市場を大きく揺さぶっています。現在のみならず、将来における「国民経済の健全な発展」をも考慮に入れるなら現状維持策は、デフレ経済に逆戻りという大きなリスクを抱え込むことになると思われます。 一般的に政策実施に携わる人々は、法律の則を超えないことに多大な注意を向けます。しかし国民の利益を願うなら、法律の一言一句に拘る前に経済の本質を見据えるべきではないでしょうか。日銀法に米国のFRB連邦準備法(2条A)にあるような「最大雇用の促進」が記載されていないからと言って抜本的デフレ対策を先延ばしするという余裕は日本にないのです。 日銀法上「物価の安定を図る」ことは理念(2条)とされているだけで、目的とされているわけではありません。また雇用の最大化については言及もされていません。法律の枠内で日銀総裁としての業務を全うすれば足りると考えるなら、あえてリスクを負ってまでマイナス金利を導入する必要はないということになります。 しかし、デフレは経済を縮小させ失業率を高める「健全な発展」の対局にあるものです。デフレから脱却出来ないなら持続可能な日本の発展は夢、まぼろしとなるでしょう。デフレ脱却のためできることは何でもする、という姿勢を今回も明確にした黒田日銀総裁には大いなるエールを送りたいと思います。 日本銀行法 (目的) 第一条  日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。 2  日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。 (通貨及び金融の調節の理念) 第二条  日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。 Federal Reserve Act Section 2A. Monetary policy objectives The Board of Governors of the Federal Reserve System and the Federal Open Market Committee shall maintain long run growth of the monetary and credit aggregates commensurate with the economy’s long run potential to increase production, so as to promote effectively the goals of maximum employment, stable prices, and moderate long-term interest rates.
2016.01.15

オイルとショック

オイルショックと今回の逆オイルショックではバレル当たりの価格幅が大きく異なります。 42年前(1973.10)のオイルショック時、OPECが原油価格をいきなり70%(3$→5$) 引き上げ、翌年オイル価格はさらに2倍(5$→12$弱)に引き上げられました。 その結果原油価格一挙に約4倍(3$→12$)となりましたが、価格幅は9$に過ぎません。 今回の所謂逆オイルショックでは原油価格100$超→36$、下落幅は70$を超えており 上昇幅と下落幅の差から見れば、今回はもっと良い影響があって良さそうに思うのですが。 オイルショック時、産業界も個人も右往左往、人々はトイレットペーパーを買いに走り 企業は投資抑制に舵をきりました。前年からの列島改造ブームによる地価、物価の上昇と相俟って 物価は1年で23%も上昇、物価抑制のため政策金利は9%まで上昇、日本経済は戦後初めての マイナス成長に陥いり、先進国経済はインフレと景気減速の同時進行するスタグフレーション に見舞われ、戦後の成長経済はズタズタになりました。 今回の原油価格下落は先進国消費者にとって朗報であり、店頭のガソリン価格等に顕著にその 影響が現れています。しかし原油の下落幅から見れば、もっと大きく経済回復に貢献してよい ハズですが、今のところ先進国経済が劇的に改善したという状況ではありません。 原油下落が前回オイルショックの時ほど実体経済に反映されない理由は、新興国と先進国の相互 依存性にあるのではないかと考えています。 オイルショック以来、産油国には莫大な富が流入しました。地下から絶え間なく湧き出る オイル。その価格が一挙に膨れ上がったので、産油国にとっては笑いの止まらない状況が 続きました。ドバイに建設されたブルジュ・ハリファは、世界一の高さを誇りオイルマネー の富の象徴のような存在となっています。一方、オイル消費国たる先進国にとっては富の 流出となります。オイルによる富の流れは先進国から産油国へというほぼ一方的なものでした。 今回の逆オイルショックを富の流れという観点で 見てみると、産油国→先進国という一方的な 流れとはなっていません。産油国の損失は先進国の損失でもあるという双方向性が今回の特徴 です。先進国の損失とは①オイルに投資してきたファンドの損失②米国シェールオイル企業へ の出資者損失③産油国を含む新興国に進出している企業の損失など複合的なものです。 オイル価格が急激に上昇した2004~2008までの上げは、余剰マネーが原油という比較的 小さなマーケットに流れ込んだことが最大の理由といわれています。その結果、今回の 価格大幅下落の影響は、原油市場に多額の資金を持ち込んだプレイヤーの損失という形で まずは商品に投資するファンド等が被り(上記①)、次に②③を理由とした株式市場の 下げが発生しました。また、中東産油国もSWF(国富を投じたファンド)等が国家財政 穴埋め目的でファンドの現金化をせまられ、これまで投資してきた株式市場などでの売却 を余儀なくされました。さらに、株式を始めとするマーケットの価格下落は先進国の実体 経済にも影響がおよび、経済を阻害する方向に働いたと考えられます。 上記③は貿易を通じた相互依存性によるものでもあります。現代社会では先進国と新興国 の関係がより緊密になってきています。先進国で生産された製品は新興国にも多数、輸出 されています。オイルをはじめとする資源を産出する新興国の経済が原油価格下落で低迷 すると、その影響はすぐに先進国の輸出減少となって現れます。 現在の世界は、40年前の産油国対消費国という単純な図式で動く世の中ではなくなりました。 マネーの動きや貿易が、国家を超えて相互に影響を与えながらより深く、より広く、より早く 世界を動かす複雑な社会へと変化を遂げているのです。
2015.11.01

くいの残らないマンション販売法

下請け業者のくい打ち工事データ改ざんにより、くいの一部が地盤に届いていなかったことが明らかとなり、マンション販売業者は自社負担で住人に対して保障を提示し始めたことが報道されています。新聞紙上ではデータ改ざんが起きた原因として2つのポイントが指摘されました。(2015.10.25日経) 1.工期に厳格なマンション業界の体質。施工の現場がどんなに苦しい事態に陥っても  販売会社は工期の見直しに応じてくれない。完成前に売り始める「青田売り」が  基本で引き渡しは転勤、入学を控えた3,9月に集中しがち。仮に予定日までに工事  が終わらないとクレームが発生する。 2.利益確保には工期を短くして資金回収を早めることが腕の見せ所となる事業構造。  用地取得などの資金を借入でまかなうので、金利負担増加や資金ショートを避ける  ためにも工期を短くして資金回収を早めないと、利益が圧迫される。 構造的な問題は2.の方により多くあると思われます。 どのような解決方法が考えられるでしょうか。 日本の慣行では購入者は代金の殆どを完成時に支払って引き渡しを受けることになっているので、完成するまで業者には現金が入ってきません。マンションの販売から完成までには相当の期間がかかりますが、販売業者にはこの期間自己資金か借入で耐えなければならないということになります。また資材急騰や労働力不足などにより完成遅延が見込まれそうな場合、そのリスク(費用負担)は全て業者が負うことになるでしょう。 海外では異なった販売慣行が実施されているのが散見されます。売買契約を締結した購入者は何回かに分けて支払うというものです。購入者は最初に頭金を支払いますが、その後は工事の進捗度に応じて資金を業者に支払ってゆくのです。 例えば土台が完成した段階で10%、フレームワークができた段階で次の15%、壁が立ち上がり窓枠や扉枠の設置段階で追加10%、等と支払を分割して行い部屋が完成して入居できるようになったら最後の何パーセントかを支払って引き渡しを受ける。通常8回くらいに分けて支払うという形が多いようです。 この方法の場合、くいの長さ不足のような問題が発生したら土台の完成が遅れるので購入者は問題の所在を知ることになるでしょう。販売者は土台完成延期という短期間の金利負担や資材再調達等の負担は発生しますが問題を隠してでも工事を続行する誘因は生まれにくいでしょう。 業界の慣行や法律が問題の本質だとすれば、同じような事例は他にもある可能性が あります。今後再び似たような事例が出てこないという保証もありません。 多くの人にとって一生の買い物となる住居であればなおのこと、今回の事例は深堀り して対策を講じる必要があると思います。
2015.09.14

異常な8月

世界中の株式マーケットが乱高下を繰り返し、資源も為替も激しく変動した8月。新聞には「リーマンショック以来の」という表現が頻出していました。一体8月に何が起きたというのでしょうか。 世界のマーケットが大きく変動することはある程度予測されていました。9月には米国が金利を上げる可能性が高いとのメッセージをFRBが送っていたからです。米国が金利を上げれば、世界中に溢れていたmoneyが流出することを意味するので、資産価格下落をもたらします。 また米ドル上昇、新興国通貨下落も予想されていました。 ここまでは、予測の範囲内であり世界はこうした事態に身構えていたはずです。しかし米国経済は好調であり利上げできる環境が整ったという判断の下、政策転換が行われるのであれば多少の変動は吸収出来るであろうとの判断があったということでしょう。しかしこれはその他の状況に変更がなければという前提の話です。 混乱の発端は、中国の実体経済が思いのほか悪いというメッセージが突然発せられたことです。通貨元の突然の切り下げ、金利と預金準備率の同時引き下げ等これまでの慣例を破った手段が次々に講じられるにおよび、世界経済の上昇というトレンドは変調をきたしているという恐れが世界を覆いました。結局7年前のリーマンショックから世界はまだ、立ち直れていないというショックだったと思います。 7年前、金融が凍りついた世界に対処するため米国は金利引き下げ、さらには0金利下での量的緩和策を取り、その後3回にわたるQE(量的金融緩和)により7年間で4兆ドルものドル拠出により世界のリスク市場を支えました。当時既にGDP第2位の地位にあった中国は、財政出動によって経済の浮揚を実現させたということになっていました。 7年後の現在、米国はようやく金利引き上げという回復への入り口に立ったのですが、中国の財政出動は経済成長を必ずしも後押ししない形で行われていた為、不動産や株のバブルを産み、時を同じくしてバブル崩壊に直面したということになるのではないでしょうか。 日本の例を見るまでもなく、バブル崩壊による逆資産効果は長期に亘るデフレ傾向をもたらします。高い経済成長を標榜していた中国が実は停滞状況に陥っているとすると、世界経済の回復は遠ざかってしまったということになります。この8月はそうした実体が一挙に噴出した月だったのかもしれません。
2015.07.29

ROEの落とし穴

企業の収益性を評価する代表的指標としてROEが頻繁に取り上げられています。ROEは株主資本を使ってどの位の利益をあげたのかを示す値なので、この値を高めることが重要であることに異論はありません。 ただ言及されることは少ないのですが、ROEの落とし穴ともいうべき注意すべきポイントがあります。すなわち、借入金利がROAより高い場合(ROA<i)ROEは下落するということです。(下記公式参照。) ROE= [ROA+(ROA-i)x D/E ]x(1-T) ROA: 総資産を使ってどのくらい事業利益(営業利益+金融収益) をあげているかを示す指標 D/E: 負債に対する自己資本の比率 T:法人税率 日本は15年以上にもわたってデフレが続いていたので、現在のところ借入金利は極めて低いままです。ところが今やデフレ脱却は現実のものとなりつつあり、今後インフレの世界に突入してゆくはずなので、借入金利も当然上昇となります。それでは借入金利が1%→3%に上昇した場合のどのような影響があるかシミュレーションしてみます。 ROAは2%,D/Eは10倍とすると 金利1%: ROE=2+(2-1)x10=12% 金利」3%: ROE=2+(2-3)x10=-8% 借入金利が1%→3%上昇しただけで、企業価値ROEは12%のプラスから8%のマイナス へと大幅に転落します。従って企業価値を毀損しないためには、ROAが常に金利よりも高くなるような経営をしてゆく必要があるのです。金利は一度上昇を始めると経営努力でどうにかできるという類のものではありません。金利の低い今こそが事業利益率を高めることを目標とした経営を始めるタイミングです。
2015.06.12

ヴェネツィア 富と権力

世界の歴史に多大な影響を与えた地域はどのように生まれてきたのか、そこにはいくつかの共通項があるようです。現代ではアメリカのシリコンバレーが代表的ですが、中世ではルネッサンス文化の開花に大きく貢献したイタリアの諸都市、中でもヴェネツィアはその代表ともいえるでしょう。ルネッサンス文化を支えた富と権力はどのように獲得されてきたのでしょうか。 結論から先に言うと、ヒト・モノ・カネ・風土が生んだというのが私の仮説です。最近読んだ本「バランスシートで読み解く世界経済史」(ジェーン・グリーソン・ホワイト)にヒントがあったので、この本を参考文献として考えてみます。 15世紀中ごろ、十字軍による聖地エルサレムの奪還が叫ばれ騎士団は聖地をめざしましたが、その通リ道であったヴェネツィアは中世交易の中心となっていきました。交易はヒトとモノの流れを意味します。アドリア海に面した港という立地も海上交易の拠点としてヒト、モノを引き付けたことでしょう。 中世のヨーロッパは宗教の影響が強く教会は融資の際、固定金利を付けることを禁止していました。「ヴェネツィアに誕生したダティーニは為替手形により教会の目をかいくぐり、国際的マーチャントバンカーとして貿易と信用のネットワークを構築。それにより産み出された巨大な富が建築、美術、学問に投じられた。」かくしてカネの面からもヴェネツィアはルネッサンスの資金供給源となったのです。 風土の面からヴェネツィアに富と権力をもたらしたのは実利主義といえるでしょう。「ヴェネツィアは中世ヨーロッパにおいて、パリ、ナポリに次ぐ3番目の規模を誇っていた。ヴェネツィアは他の都市国家と違い、教会の支配よりも商業を優先、異教徒オスマントルコとも講和条約を結んで争いに巻き込まれることなくビジネスを続けた」のです。 この本の副題「double entry」は複式簿記のことですが、ルカ・パチョーリというルネッサンス時代の修道士、数学者によるもので、パチョーリはレオナルド・ダビンチに数学を教えた人でもあったようです。複式簿記は現代でも世界中のビジネス実務で使われていますが、ビジネスの結果生み出される成果を記録、把握する為の基本的インフラです。パチョーリというヒトがヴェネツィアに誕生したことがヴェネツィアの経済的発展を後押ししたのは間違いありません。 十字軍遠征という宗教的背景を利用し交易を行う一方、教会の権威や支配には距離を置くというしたたかな戦略。これにより獲得したモノやカネ、それを背後から支えたヒトや風土によりヴェネツィアは栄え、ルネッサンスは花開きました。ヒト・モノ・カネ・風土はビジネス、投資を成功に導く本質的要素であることを示しています。
2015.05.05

価格の無常について

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」鴨長明の方丈記の有名な一節で、移りゆくものの無常をうたったものとされています。 話はいささか世俗的になりますが、株価も時々刻々と値を変えて株価ボードで点滅を続け、「とどまりたるためしなし」を実感させられます。株価というものはよどみに浮かぶ泡沫のようなものなのでしょうか。 価格が絶え間なく変わるのは市場で売りと買いがぶつかって、値付けが行われているからですが、個人、機関投資家、金融機関、海外投資家など市場への参加者の売買基準は異なります。 株価は企業の価値なのでその本質的価値に収斂してゆくはずですが、それでは企業の本質的価値とは何でしょう。色々な説がありますがここでは保有資産+稼ぐ力と考えておきます。前者の保有資産はバランスシートに出ているので誰が見ても同じ数字になります。 問題は後者の稼ぐ力。会社は経済活動をすることで利益を得ているので、長期的に利益を維持、成長させられる能力が稼ぐ力と言えるでしょう。市場参加者は企業の稼ぐ力に着目して売り買いの決断をしているはずですが、企業の稼ぐ能力判断は投資家によって異なるというのが実態です。株価が変動する1つ目の理由です。 株価を動かすもう一つの要因は需給関係です。例えば法人投資家なら決算対策の売買があるでしょうし、ファンドならファンド出資者の意向により左右されます。リーマンショックでファンド出資者からの解約が相次いだときには、返済資金確保の必要から本質的価値の高い銘柄から売却して返済資金を確保するということは実際に行われました。たとえ本質的価値が高い銘柄であっても売られざるを得ないという状況は往々にして起こります。従って、短期的需給関係による価格は株価の本質的価値とは無関係です。 市場で勝ち組となる秘訣は、企業の本質価値にこだわり続け需給関係による値動きに無頓着でいることだと思います。株価が下落したとき、株価ボードに表示されている価格が本質的価値より大幅に低いと判断できれば、思い切って買えばよいのです。いずれ株価は本質価値に収斂してくるので利益は自ずと買い手のものとなります。 人は市場の大幅な下げに直面した時恐怖にかられます。損失が拡大するのは嫌なので恐怖から逃れようという心理が働き、売却に走るのでしょう。しかしそのような心理に抵抗することが出来なければ勝ち組になることは難しい。そして下落の恐怖感から自由でいられるポイントは、保有する銘柄が市場で表示されている価格以上の本質価値があるという確信です。 価値と価格は必ずしも同じではありません。日常の買い物でも安くてお得とか、割高という判断をしているわけですが、この場合比較しているのは同じような他の製品であったり、これまで商品についていた値札だったりします。スーパーで大根を買うならこれでよいでしょうが、投資の世界に同じ感覚を持ち込むなら決して報われることはありません。この世界ではむしろ価格のウラをかくくらいがちょうど良い。そしてこのような行動を担保するのが「本質価値」判断なのです。
2015.03.29

TESLAに乗ってみた!!

南青山に電気自動車(EV)Teslaのショールームがあります。展示されている車のボンネットの中は空洞、エンジンがありません。シャーシにモーターが取り付けてありこれが車輪を回転させるのです。エンジンがないので車重は軽いということはなく、普通の車と変わらないそうです。モーターを駆動させるリチウム・イオン・バッテリー・パックがシャーシいっぱいに敷き詰めてあるからです。 この車、馬力もスピードもスーパーカー並みということで早速試乗させてもらいました。アクセルを踏むと音もなく動き出しますが、ちょっとアクセルを踏むと同乗者はいっせいにのけぞります。セダンタイプでありながら5秒で100kmまで加速するという、まさにスーパーカー。しかも東京から名古屋まで走ってもかかる電気代は500円程度という驚きのパフォーマンスです。日本国内には既に1000以上のバッテリー充電装置が設置されており一回の充電で500km弱の走行可能、家庭のコンセントからも充電できるそうです。 ダッシュボードにはメーターの類は必要最小限。その代りハンドルの左横の既存車ならステレオや変速ギアがあるあたりにかけて大型のスクリーンがついており、これがネットにつながっています。シリコンバレー(本社:カリフォルニア州パロアルト)で生み出された車だけあってネットと車の融合を実現しています。 蓄電池や水素を燃料として走る車がガソリン車に取って代わる日はそれほど先の話ではないような気がします。都内で深呼吸をしても排気ガスにむせ返ることもなく、車の騒音に悩まされることのないエコ・フレンドリーな都会に変わってゆくかもしれません。 一方、ITや家電等様々な業界からの参入によって、自動車や部品メーカーは厳しい淘汰の時代に突入して行くことになるでしょう。Teslaは環境や業界を巻き込みながら「変化」という荒野を駆け抜けて行く象徴なのかもしれません。
2015.03.02

ピケティーの不等式

フランスの経済学者トマ・ピケティーは格差問題についてR>Gの不等式を使って説明しました。簡単に言うと、株式や債券等に投資をして得られる収益率Rは経済成長率Gよりも常に大きい。従って多くの資産を持つ人はますます富み、そうでない人との格差は広がる一方であるということです。 経済格差は様々な問題を引き起こしますから、是正されねばならないでしょう。問題はその方法です。ピケティーは税制変更による是正を提案していますが、実現は簡単ではありません。一方、上記不等式は「投資をしないことが格差を拡大する」と見ることも出来ます。投資の収益率が賃金の伸びより高いなら、会社から給料を得ているだけの人よりも、その一部を投資に回している人のほうが有利、ということをR>Gは示唆しているからです。 日本の現状は国民金融資産約1654兆円の52%以上が貯蓄に回っているので日本人は投資による収益率Rの恩恵を十分に享受しているとは言えません。日本人同士で比較すると、貯蓄だけの人と投資もしている人の格差は益々開いてゆくことを意味しています。 また、この貯蓄比率が13%である米国と比較すると家計資産の日米格差も益々拡大してゆくということになります。より直接的に投資収益率Rを表す、株、債券、投信への投資比率 で比較すると日本16%に対して米国51%となっています。米国に於いては、報酬における収入格差も大きいので投資にまわせる資産の大きさの差がそのまま格差拡大につながってしまい、そこは問題ですが、家計レベルでみると投資果実を半数以上の51%が享受しています。 日本においては、収入格差が米国ほど大きくはないのですが、投資収益を得ている家計が16%と極めて少ないことに問題があります。ピケティーの不等式が正しいなら、今後日本において投資が増えない限り個人間、国家間の格差は拡大してゆくことになるでしょう。投資をすることが格差是正につながるなら問題の解決法はより身近にある、ということになるのではないでしょうか。 *上記、国民金融資産は、資金循環表「家計の資産合計」の数値(日銀統計局2014・12)による。
2015.02.09

潮目変化の読み方

現状の日経平均株価は2年前と比較すると約2倍(17,500/8,700=2.01)、ドル円の為替水準は2年前の約1.5倍(118/80=1.475)となっています。2年前に日本株やドルに投資をしていれば大きな利益を得ていたことになりますが、皆さんいかがだったでしょうか。 成果の良否は2年前に株やドルが上がると予測できたか否か、という1点にかかっていました。今、株価や為替がどうなっているかはマーケットを見れば誰にでもわかることですが、2年前にチャンスと判断して実際に投資行動を起こした人はそれほど多くはなかったようです。 変化に気付いていち早く行動に移し利益を上げるのは、残念ながらヘッジファンドを始めとする海外勢が中心となっています。彼等は2年前に潮目が変わったことを確信したのです。2年前彼等が着目したのは、第二次安倍内閣が3本の矢をもって経済政策を推し進めるという発表でした。 当時日本は、15年以上に亘るデフレ経済に慣れきっており、政策が変わったくらいで日本経済が好転してゆくと考えた人は少数派だったようです。アベノミクス政策発表直後のセミナー等で、日経平均は今後上昇すると思うか否かと尋ねてみたことがあります。上昇すると答えた人は圧倒的少数でした。 ではナゼ海外勢は積極的に日本買いに転じたのでしょうか。彼等はこの政策によって日本の経済成長が実現でき、デフレ経済から脱却できると考えたのだと思います。アベノミクスの本質はGDPの構成要素(消費、財政投資、設備投資、貿易収支)に3本の矢(金融政策、財政政策、成長政策)を打ち込むことによってGDPを上昇させることにあるはずです。日本経済が成長すれば、日経平均は上昇するというロジックで日本株に大量の買いを入れてきたということでしょう。 日本に住み日本人の頭で考えていると、往々にして大きな潮目の変化を発見し損なうことがあります。人間は過去の延長線上でモノを見る習性があり、そうすると潮目は見えません。変化に気付いて利益を獲得するためには外国人の目を持って外から日本を見るということが有効です。
2015.01.19

カジノ?

カジノに対するイメージを聞いて回ったことがあります。概してお子さんをお持ちの女性は否定的なイメージを持たれているようです。ギャンブル依存症や治安の悪化などを懸念されており、日本にカジノは「よろしくない」ということのようです。どのくらいよろしくないのか、確認のため政府がモデルとしようとしているシンガポールのカジノへ昨年末行ってきました。以下、そのレポートです。 2010年開業したマリーナ・ベイ・サンズ。3棟のホテルの上に船のようなプラットフォームが乗っており舳にあたる部分にはエレベーター(56階)で上ることができます。ここからシンガポール全体が見渡せ360°のパノラマは壮大、一見の価値あり。 このホテルから海方面に向かって広大なショッピング・ゾーン(主に高級ブランド店や飲食店)が伸び、一番海に近い場所のグランドフロアーから下3階に豪華カジノが広がっています。入口は3つ。内2つは外国人用で、入るためにはパスポートが必要。もう1つはシンガポール人及び永住者用で有料。入口が違うのでシンガポール人専用のカジノがあるのかと思ったら、中では一緒でした。 平日の午後2時頃、カジノの中は9割方埋まっておりスロットでは多くの中国系(だと思う)の方々がに遊んでいます。ディラーの居るテーブルも6割位の着席率。モデルのような女性がすたすたと歩いてきてカードゲームに興じたりしていました。ソフトドリンク飲み放題、たばこ吸い放題。少々煙いのを除けば高級な大人の遊び場といった感じです。 マリーナ・ベイ・サンズ、もう一つの特徴は光と噴水、レザー光線、音楽が一体となって織りなされるダイナミックなショー。毎晩8:00と9:30に行われています。大人も子供も一緒に楽しめる大型施設の一角にカジノもある、というイメージでした。スケールの大きなホテル、ショッピングゾーン、ダイナミックなショー、の三位一体には既視感あり、調べてみました。やはり、ここの運営はラスベガス・サンズの手によるものだったのです。[ホテル前の広大な池で噴水が踊るベラッジオやベネチアンホテル等で有名] カジノ合法化にむけて、議員連盟により提出されたIR法案(統合リゾート推進法)は民間の資金や活力を生かし、国のイメージ向上、海外集客促進などによる経済効果を狙っています。(国民の間にギャンブルを広めよう!という内容ではありません。)日本の成長にとっても大きく貢献できるプロジェクトになると思われます。 IR法案は先の衆議院選挙で廃案となりましたが、今国会への再提出予定と報じられています。成立後1年以内に国による法制上の手当てを義務付けていますので、ギャンブル依存症や治安の悪化、マネーロンダリングなどの対策もしっかりと行われることになるでしょう。 但し、カジノはシンガポールの他マカオや韓国、マレーシア等にも競合がおり、厳しい競争も予測される分野でもあります。日本らしい独創性のあるクールな統合施設を是非実現させてほしいものです。
2014.12.25

HP公開しました。

2014.12.25 HP公開しました。今後とも、ご愛顧のほど どうぞよろしくお願い致します。