幸せの測り方

ヒト同士の接触を避けるためソーシャル・ディスタンスが世界の常識となっています。挨拶のプロトコールとしての握手、ハグやキスですらその代わりに肘と肘を合わせるという味気ないものに変わってしまいました。ヒトの幸せホルモンであるオキシトシンは手を握ったり抱擁しあったりすることで分泌されるものとされています。ソーシャル・ディスタンスによりオキシトシンの分泌は抑制され、世界の人々の幸せは少なからず奪われているものと思われます。


幸せは「快」の程度によって左右されるともいえます。「快」を司るのは脳から分泌されるドーパミンとかエンドルフィンと言われておりこの脳内物質が受容体に受け止められたときに人は快感を覚えるようにできているようです。


何によって「快」を感じるかはヒトによって個体差がありますが、精神的な充足や達成感、他人からの認知やふれ合いなどでもこの脳内物質は分泌されます。様々な社会的刺激を「快」と認識して分泌量が決まってゆくとすれば、社会性が制限されるソーシャル・ディスタンスは快感も制限しているということになるでしょう。


一方、出社しなくても仕事は出来るということが判明したため、ワーケーション(バケーションを楽しみながら仕事もするというスタイル)を実行する人々もでてきています。気持ちのよい環境で気持ちよく効率的に仕事が出来るということになれば、脳内には喜び物質が溢れ出てくるという効能もあることでしょう。しかしどのように評価されるか不安、などマイナスの側面もあるようです。


ヒトは幸せを感じていると免疫機能が高まり病気にもかかりにくくなり、逆にストレスが溜まると免疫機能が低下します。ソーシャル・ディススタンスや自粛は短期的には命を守るかもしれませんが、長期的には健康を阻害する要素のほうが大きそうです


コロナの影響でヒトの幸せがどのくらい減っているのかを測定することが出来るかもしれません。オキシトシンとドーパミン、エンドルフィンの総量を測定して(そんなことができるのかどうかわかりませんが)ソーシャル・ディスタンスの程度や頻度によってそれらがどのように変化するか関係づけてみるのです。人類の幸せの為に何かをする、とかいうと気恥ずかしくなりますが、科学的データでそれが可能ならやってみる価値はあるのではないでしょうか。


以前、幸福をGDPで語るのはもうやめようという提案がありました。では何で測るのかについては語られていなかったように思います。幸か不幸かコロナのおかげでそういう測定も不可能ではない環境が出来てしまったので、我こそはと思わん方はやってみてはいかがでしょうか。ことは人類全体の幸せにつながることなのでもしかするとノーベル賞も夢ではないかもしれませんよ。