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進化を止めないジャンパー

昔、イタリアで買った茶色のジャンパーの穴をかがって着ることにしました。茶色のジャンパーをトレードマークとしているこの人にあやかりたいと思ったからです。ところがいそいそと着用に及んだ翌日、新聞を広げるとなんとその人のジャンパーは黒に代わっていました。
今回発表されたGB200という新型半導体に使用されているBlackwellというバージョンアップされたGPU(グラフィック用演算装置)にちなんだものなのでしょう。


その人の名はジェン・スン・ファン、言わずと知れたエヌビディアのCEOであります。同社はデータセンター向けGPUで92%のシェアを握っています。AIがデータを学習し、推論(生成AIが質問に答える機能)するには計算能力がモノをいいますがその能力はデータセンター内のサーバーによって供給されます。能力を高めるには膨大な計算が必要で、この演算を並列してこなし高い精度で提供できるのがGPUです。

エヌビディアの強みはこの製品である半導体に限られないところにあります。GPUを導入した企業がその能力をいかんなく発揮できるよう、当該企業の開発者の開発を初期段階から手助けするソフト(CUDA)を提供しているので、400万人を超える各企業の開発者はエヌビディアによって囲い込まれていることになります。


さらにファンCEOが今回披露した新型半導体GB200はGPUにCPU(中央演算装置)を組み合わせたサーバーで、生成AIの推論の性能を30倍に高めると言われています。学習機能のみならず推論にも強い製品を提供するならAI半導体という市場において追随を許さない地位を獲得することになるでしょう。


今後の社会では様々な産業分野においてAI半導体が必須のものとなると言われています。医療、創薬、デジタルツイン(工場や現場をデジタル上で再現するもの)
のシステム開発、気候や災害の予測などおよそ世の中に存在する産業でAI半導体のお世話にならない業界は稀だと思われます。


今後のAI開発において極めて高いスピードを求められることを見越して発表された新製品。
AI時代を切り開く先端に君臨していながら、さらに社会のニーズを先取りして進化し続ける象徴。それがファン氏のジャンパーであるということです。

株価が1年で3倍超になったことに何の不思議もありません。