2021.01.24

ピンクエレファント

現在進行中の新型コロナショックは、過去の世界大恐慌に勝るとも劣らない経済的損失を世界に与えていますが、当時の惨状と比較すると、悲劇的度合いは随分と穏やかなもので済んでいると感じられます。何がこの差を産んでいるのでしょうか。


当時との一番の違いは株価。大恐慌の折、ニューヨークダウは大暴落となり、殆どの財産を失って路頭に迷う人々が続出しました。先行きを悲観して自ら命を絶つ人もあとを絶たなかったようです。これにひきかえ現在、世界の株価は暴落どころか暴騰しています。株価だけをみるならユーフォリアの体をなしておりこのような状態のとき、世界は明るく見えてきます。しかし、株の時価総額が実体経済を上回るというのは明らかにバブルです。


現在と大恐慌当時の金融環境で一番の大きな違いは何でしょうか。それは市場に出ているカネの量です。大恐慌当時、金本位性がとられており、刷ることのできるカネの量は保有する「金」の量に厳しく制限されていました。その後しばらくたってこの制度は廃止され、刷ることの出来る紙幣の量が物理的に制限されることは無くなりました。


これに代わってカネの流通量を決めているのは、中央銀行(金融)と政府(財政)。そのかじ取りの加減によって経済の過熱を抑えたり、落ち込む景気の下支えをしたりしています。コロナ下にあっては経済が落ち込むので両者が手を携えて恐慌のような状態にならないよう必死の努力を続けています。このような状況下、カネの流通量を減らせば大恐慌の二の舞となることでしょう。


ところでその手綱さばきが効かなかったり裏目に出たりして、市場が大きく揺れ経済が落ち込むというショックを我々は何度か経験してきました。そして何故かそのような事態には動物の名前がつけられています。黒い白鳥とか、灰色のサイ等。黒い白鳥はめったに起こらないが、起きたときには壊滅的被害をもたらす出来事のこと。予測できない金融危機や自然災害について使われています。


灰色のサイは、高い確率で存在し、大きな問題を引き起こすにもかかわらず軽視されがちな問題を指します。サイは灰色が普通で、普段はおとなしい。しかし、暴走し始めると誰も手を付けられなくなることからのネーミングです。今回の新型コロナのような不思議な現象はどのような動物があてはめられるでしょうか。


ピンクの像。。 アルコールや麻薬などによって起きる幻覚症状の婉曲表現。金融も財政も「出来ることは何でもする」という手段に出ているのに需要は激しく落ち込むという、普通ではあり得ない幻覚のような現象です。
政策的にバブルを起こしてでもしてでも実体経済を支えるしかない、原因がどこにあるか明らかなのに経済的には合理的な手が打てない、世界的に厳しい移動制限が一年以上も続く。人類がこれまでに経験したことのない不思議な世界出現です。


嫌なことを、酔ってでも忘れようとするようなもので長期に亘って続くなら副作用は甚大なものとなることでしょう。人の移動を妨げているピンクエレファントには、壊滅的な事態となる前に早く夢の彼方へ消え去ってもらいたいものです。


注:ピンクの像というネーミングは、筆者の妄想に基づくものですので悪しからず。なお、ピンクの像は現実には存在しないそうです。