コロナとの闘い

コロナウイルスの拡大を防ぐべく、各国がヒトの移動を制限しています。また感染の恐れから出来るだけ外出を控えるいわゆる巣ごもりも多くなっているせいか、街には人影がまばらです。海外からのInboundに加え、海外へ旅行に出かけるOutboundも減少しているようです。その結果、旅行、飲食、娯楽、など様々なマーケットが大幅に縮小します。ヒトの移動減少の帰着するところは世界の需要縮小です。

また、工場での仕事も制限されておりモノの生産も大きく減少しています。企業は中国を始めとして世界中に生産拠点を拡大しているため労働力や原材料の供給が滞り、その結果生産の縮小が起こっています。帰着するところは世界の供給の縮小です。

経済変動は多くの場合、需要の低迷か供給の不足のどちらかにより引き起こされます。前者の場合デフレ傾向、後者ならインフレとなり対策として財政出動や金利変更が行われます。ところが今回のように需要と供給が手を携えて縮小するというのはまれ、経済が悪化するのは当然の摂理で世界中の株価暴落はそうした状況を織り込んでいるのでしょう。

過去の多くの大暴落の折には政策金利を引き下げてそのショックを緩和してゆくというのが常套手段でした。今回も米国FRBによる金利引き下げが行われました。何の手も打たずに事態を傍観しているわけにはいかないので各国も財政、金融政策を繰り出してくると思われます。ただそれでウイルス問題の根本的解決にはつながることはありません。

ヒト、モノの動きを取り戻すためにはウイルスの急拡大(いわゆるパンデミック)に対する恐怖を払拭するしかないでしょう。そのためにはどのような経路でコロナウイルスが拡散しているのか、そしてどのような薬を使えば回復できるのか、この2点を突き止めることに尽きると思われます。

問題はコロナの特殊性にあるようです。「インフルエンザは感染力が強く、ほとんどの人が他人を感染させるが、コロナは誰が感染させ易いかわかっていない」「これまでの研究報告によると症状が軽い人や全くない人が感染源になっている」(押谷東北大教授)「症状がほとんどない人もいるが、そういう人も感染源になる場合対応が難しい。人類が初めて経験するコロナウイルス感染症」「通常ウイルスに異変が起きて病原性や感染力を増す。コロナはほとんど変異していない。かなり特殊」(脇田国立感染症研究所長)(日経2020.2.28政府専門家会議 3委員議論より)

コロナウイルスに対しては各国が同じ方向を向き、進化を加速しつつある科学や医学の力を総動員して立ち向かうことが最優先事項と認識されていると思います。人類は共通の敵に対峙したとき必ず勝利する力を持っていると信じます。暫くいろいろな制約に耐えねばならないでしょうが需要も供給も消えてしまったわけではありません。では、需給が復活するのにどのくらいの時間を要するのかが見えていない中で優先すべき事はなんでしょうか。

需要の制約となっているヒトの動き。その制限を出来るところから解除していくことだろうと思われます。ここまでは大丈夫、これは危険といった線引きをすること。その上でさらなる分析、研究の結果を踏まえて「大丈夫」の領域を広げてゆくというステップになるのではないでしょうか。