2019.07.24

2000万円不足?

金融庁・金融審議会の報告書が、平均的高齢夫婦世帯では、年金だけでは2000万円不足と指摘したことがクローズアップされ社会問題化しました。同報告書によると「老後の生活設計を考えたことがある」人は全体の67.8%、30代以上で軒並み50%以上、その理由としては「老後の生活が不安だから」であり「お金」が主要要因になっていることが窺える、とされています。


人間は過去を懐かしんだり悔んだりしながら現在を生きていますが、将来がはっきりと見えている人は一人もいません。不安というのは何がおきるか判らないがゆえに生じる妄想の産物です。但しこれまで生きてきた経験から現在の延長線上に起きるであろうことを思い浮かべるので、単なる妄想よりは実現性は高いのでしょう。


不安の源は2000万という数字ではなく、酷い目に合うことなく人間らしく生を全うしたいというささやかな望みに対する懐疑にあるのではないでしょうか。将来そのような境遇に合わない為に必要なのはカネだけではないでしょうが、あれば少しは安心できるだろうからということで目安として提示したところ、逆に不安を煽る結果となってしまったということかもしれません。


年金だけでは足りないのは皆分かっているでしょう。その不足を長期の投資で補ったらどうか、というのも間違ってはいないと思います。ただ政策担当者たる国家が、個人だけに責任転嫁するというのはいかがなものでしょうか。


政治の第一義的使命は何でしょうか。小手先の制度改定によりパッチワークを続けることなどでは決してありません。国を豊かにして生活のレベルをかさ上げすることにあるのではないでしょうか。「失われた20年」のような状況に陥らないようにすること、不幸にも陥ってしまったなら早急にそこから脱出させることです。世界を見渡しても今後世の中が良くなっていくとは考えにくい状況にあります。どのような舵取りをすればこの目的を達することができるのか、与党のみならず野党も第一義的使命を全うする決意と覚悟が望まれます。


国民は報告書の提案のように投資のための金融知識を身につけていくべきでしょう。一方、国の経済を継続的成長に導ける能力のある政治家を見極め、選ぶことも同じくらい重要な一歩であると思います。20年後の将来、GDPが右肩上がりを続け2000万円問題は過去の笑い話であったという報告書が提出されることを期待しています。