異常な8月

世界中の株式マーケットが乱高下を繰り返し、資源も為替も激しく変動した8月。新聞には「リーマンショック以来の」という表現が頻出していました。一体8月に何が起きたというのでしょうか。



世界のマーケットが大きく変動することはある程度予測されていました。9月には米国が金利を上げる可能性が高いとのメッセージをFRBが送っていたからです。米国が金利を上げれば、世界中に溢れていたmoneyが流出することを意味するので、資産価格下落をもたらします。

また米ドル上昇、新興国通貨下落も予想されていました。



ここまでは、予測の範囲内であり世界はこうした事態に身構えていたはずです。しかし米国経済は好調であり利上げできる環境が整ったという判断の下、政策転換が行われるのであれば多少の変動は吸収出来るであろうとの判断があったということでしょう。しかしこれはその他の状況に変更がなければという前提の話です。



混乱の発端は、中国の実体経済が思いのほか悪いというメッセージが突然発せられたことです。通貨元の突然の切り下げ、金利と預金準備率の同時引き下げ等これまでの慣例を破った手段が次々に講じられるにおよび、世界経済の上昇というトレンドは変調をきたしているという恐れが世界を覆いました。結局7年前のリーマンショックから世界はまだ、立ち直れていないというショックだったと思います。



7年前、金融が凍りついた世界に対処するため米国は金利引き下げ、さらには0金利下での量的緩和策を取り、その後3回にわたるQE(量的金融緩和)により7年間で4兆ドルものドル拠出により世界のリスク市場を支えました。当時既にGDP第2位の地位にあった中国は、財政出動によって経済の浮揚を実現させたということになっていました。



7年後の現在、米国はようやく金利引き上げという回復への入り口に立ったのですが、中国の財政出動は経済成長を必ずしも後押ししない形で行われていた為、不動産や株のバブルを産み、時を同じくしてバブル崩壊に直面したということになるのではないでしょうか。



日本の例を見るまでもなく、バブル崩壊による逆資産効果は長期に亘るデフレ傾向をもたらします。高い経済成長を標榜していた中国が実は停滞状況に陥っているとすると、世界経済の回復は遠ざかってしまったということになります。この8月はそうした実体が一挙に噴出した月だったのかもしれません。