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麻酔の効かないカラダ

米中の貿易戦争がエスカレートしています。米国は1~2弾で中国からの輸入品500億ドル分につき既に25%の制裁関税を実行、5月10日第3弾で2000億ドル分に25%課税を決定、さらに次の4弾で3250億ドル分に25%をかけるとしています。これに対し中国も米国からの輸入品に対し制裁関税で対抗し続けています。


お互いに協議による解決を目指していますが協議は行き詰まっています。原因は話し合いで解決することが難しい国家主権の修正というところに本質的問題があることだと思われます。自国第一主義の米国に対し、国家資本主義の中国。経済においては資本主義という共通項があっても、政治においては民主主義と共産主義という水と油の関係にあります。
この問題を貿易と関税という力関係で解決しようとしても解決の道筋は見えません。


お互いの妥協点が見つからず第四弾が実行され、解決なく継続していった場合何が起きるでしょうか。大きく分けて以下3つが考えられます。
① 売上減少、コスト上昇(supply chainの見直し等に伴う)による各国企業の収益の低下
② 企業の投資減少、国家による技術囲い込み競争による技術発展の停滞
③ 世界経済成長率下落、インフレ昂進、各国税収低下、財政出動余力低迷


なんといっても恐ろしいのは①②③の結果、世界的危機に対する対応力が著しく低下することです。既に危険水域にある世界経済に一度コトが起きると回復するのが極めて困難になります。11年前のリーマンショック時、米国は政策金利を一挙に5%引き下げ0%に近い政策金利を維持し続けました。最近になってようやく2.5%に戻した段階にあります。しかし再びリーマンショック並みの危機が発生した場合、現行政策金利を0に下げてもその効果はリーマン対応時の半分程度に過ぎません。世界の先進各国もリーマンショック後の政策金利引き下げ、現状はほぼ金利ゼロのままです。


中国はリーマンショック時、4兆元もの財政支出をして自国並びに世界の危機回避に貢献しました。今回、貿易戦争の悪影響を避けるべく約2兆元の財政出動をしていると報じられています。もし再びリーマン級の危機に世界が見舞われた場合、中国の財政出動も限定的とならざるを得ないと危惧します。


自分のカラダが麻酔の十分に効かない状態にあるなら、大手術を要するような病巣が発見されないことを祈るしかありません。自国の政治的課題を解決するために、世界を巨大なリスクにさらすなら、麻酔なしの手術の痛みに耐える覚悟が問われます。