2019.09.04

金は売れるのか?

引用元:三菱マテリアル
https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/

金価格の上げ下げの要因は様々ですが、最大の要素はざっくり言うと米国(米ドル)への信頼感ではないかと思われます。信頼感が強い時、資金が米ドルに流れ込み投資対象も高利回りの資産に集まります。このような状況時、利息の付かない金は魅力的でなく価格も下落します。

私ごとではありますが1988年1月5日、初めて100グラムの金の延べ板を買いました。
当時の価格は100g、201,000円。グラフ(長期推移_金価格 三菱マテリアル)を見ると明らかなように、買ってから価格は下がる一方でした。米ソの冷戦終結宣言(1989年)を境にドルへの信認が高まり、金に対する需要が減ったということなのでしょう。

金価格が大きな上昇をみせたのは同時多発テロ(2001.9)及びリーマンショック(2008.9)の2回でした。共通するのはともに米国に対する信認が大きく揺らいだ出来事であったということです。自国並びに世界経済への悪影響を避ける為、中央銀行は利下げに加えてQE(量的緩和策)を導入しました。これは市場に通貨を大量に供給する方策なので、通貨価値は下落 、相対的に金の価格は上昇となりました。

買った金が値下がりを続けていた為、机の中に放置しておいたのですが2012年末の大掃除中に出てきたので価格を見てみると480,600円になっていました。テロやリーマン危機の影響で安全資産たる金にカネが流れたことは明白です。

2013年以降FRBによる積極的金融政策が効を奏し、経済は信認を回復、金価格は下落
しました。ところが2018年から始まった米中貿易戦争を境に金価格は再び上昇、米中の関税かけ合い激化が世界経済の減速を加速するという市場の見方 を反映しています。

直近の顕著な動きとしては、各国中央銀行が金を買い増しし始めたことが挙げられます。19年の上期、世界の中央銀行の金購入量は1971年以降最高のペースとなり、374トンを買い増しした(world gold council))と報じられています。

通常、長期の国債を安全資産として保有する中央銀行が金の保有を急速に増やしているというのは何を意味しているのでしょうか。本日の金価格はグラム5,715円。混迷の度を増し続ける世界経済の状況を見ると、金価格はリーマンショックに勝るとも劣らない悪化トレンドにあること示唆しているように見えます。また、トランプ大統領はドルが高すぎると主張し続けているので、主張通りドルが安くなれば、ドルの通貨価値は下がります。ドル価値の下落は米国への信頼感低下を意味するので、さらなる金価格の上昇につながってゆくと思われます。今回は保有している金が下がり始めたら売却しようと思っているのですが、売却出来る日が本当に来るでしょうか?

注:世界標準となっている金価格は1トロイオンス(約31g)あたりのドル建て価格を取引単位としています。日本における価格は、1グラムあたりの円建て表示なので、ドル表示と同じような動きにはなっていません。すなわち日本価格は米国価格を31gで割り、ドル円レートをかけたものとなっているので、ドル高円安なら高くなり、逆にドル安円高なら安くなります。
2019.07.24

2000万円不足?

金融庁・金融審議会の報告書が、平均的高齢夫婦世帯では、年金だけでは2000万円不足と指摘したことがクローズアップされ社会問題化しました。同報告書によると「老後の生活設計を考えたことがある」人は全体の67.8%、30代以上で軒並み50%以上、その理由としては「老後の生活が不安だから」であり「お金」が主要要因になっていることが窺える、とされています。


人間は過去を懐かしんだり悔んだりしながら現在を生きていますが、将来がはっきりと見えている人は一人もいません。不安というのは何がおきるか判らないがゆえに生じる妄想の産物です。但しこれまで生きてきた経験から現在の延長線上に起きるであろうことを思い浮かべるので、単なる妄想よりは実現性は高いのでしょう。


不安の源は2000万という数字ではなく、酷い目に合うことなく人間らしく生を全うしたいというささやかな望みに対する懐疑にあるのではないでしょうか。将来そのような境遇に合わない為に必要なのはカネだけではないでしょうが、あれば少しは安心できるだろうからということで目安として提示したところ、逆に不安を煽る結果となってしまったということかもしれません。


年金だけでは足りないのは皆分かっているでしょう。その不足を長期の投資で補ったらどうか、というのも間違ってはいないと思います。ただ政策担当者たる国家が、個人だけに責任転嫁するというのはいかがなものでしょうか。


政治の第一義的使命は何でしょうか。小手先の制度改定によりパッチワークを続けることなどでは決してありません。国を豊かにして生活のレベルをかさ上げすることにあるのではないでしょうか。「失われた20年」のような状況に陥らないようにすること、不幸にも陥ってしまったなら早急にそこから脱出させることです。世界を見渡しても今後世の中が良くなっていくとは考えにくい状況にあります。どのような舵取りをすればこの目的を達することができるのか、与党のみならず野党も第一義的使命を全うする決意と覚悟が望まれます。


国民は報告書の提案のように投資のための金融知識を身につけていくべきでしょう。一方、国の経済を継続的成長に導ける能力のある政治家を見極め、選ぶことも同じくらい重要な一歩であると思います。20年後の将来、GDPが右肩上がりを続け2000万円問題は過去の笑い話であったという報告書が提出されることを期待しています。
2019.06.28

ベトナム ダナン旅行記



3月中旬、ダナンへ行った。南北に細長いベトナムの中ほどに位置する場所で、ベトナム戦争の頃米軍の駐屯地のあったところ。長いビーチに面したリゾートで、寒い日本から飛んでくると頬も緩む。

ビーチから道路を渡った道沿いにはレストランが多い。レストラン前には水が張ってあるたらいがいくつもあり、その中に生きた魚や貝、エビ、ロブスターまで。ここで好きなものを指さすと新鮮なまま調理されて出てくる。

ビーチサイドには軽食も採れるバーがある。陽が傾きかける頃、バーの椅子に腰かけて海を見ながら酒を飲む人多数。これは贅沢、お気に入りの場所となった。




ダナンはこのビーチを売りものとしており、すでにホテルは山ほどあるが、なんせビーチは長いので新しいホテルがどんどん出来ている。

ダナンを南に30Km行ったところにある町ホイアン。街全体が世界文化遺産に指定されている。

16世紀末以降、国際貿易港として繁栄。ベトナム政府も観光スポットとして力を入れている場所だからか各ホテルからは無料のシャトルバスがでている。夕暮れ時ホイアンの街は提灯の光に照らされ、中国人街を中心に古い歴史的建造物とそこで買い物や飲食を楽しむ人々で賑わう。




ダナンの北100Km、ベトナム最後の王朝本拠地跡フエ。中国支配から独立、13代続いたが1883年フランスにより占領された。その後べトナム戦争時にはこのあたりが最大の激戦地となる。

門をくぐって正面の建物は68年のテト攻勢で完全に崩壊、王宮の80%が焼失。TVカメラが初めて戦地に入って世界中に放映されたのでフエの名前は一躍有名になった。




欧、米等の列強のエゴに翻弄され、歴史の荒波にもまれ続けたベトナム。しかし現在進行中の米中貿易戦争はベトナム発展のチャンスにつながる可能性が高いとみなされ始めている。

中国企業はベトナムで生産して、ベトナムから輸出することで米国の制裁関税を免れ得る。また、これまで中国を製造拠点としてきた国々も米中貿易戦争の影響を避けるべく製造拠点をベトナムに移しつつある。中国にある米国企業も生産拠点をベトナムに移しているようだ。

ベトナムは棚ぼたの利益を生産と輸出の両面から得られることになりそうである。今度こそ「苦あれば楽あり」ということになってほしい。
2019.05.14

麻酔の効かないカラダ

米中の貿易戦争がエスカレートしています。米国は1~2弾で中国からの輸入品500億ドル分につき既に25%の制裁関税を実行、5月10日第3弾で2000億ドル分に25%課税を決定、さらに次の4弾で3250億ドル分に25%をかけるとしています。これに対し中国も米国からの輸入品に対し制裁関税で対抗し続けています。


お互いに協議による解決を目指していますが協議は行き詰まっています。原因は話し合いで解決することが難しい国家主権の修正というところに本質的問題があることだと思われます。自国第一主義の米国に対し、国家資本主義の中国。経済においては資本主義という共通項があっても、政治においては民主主義と共産主義という水と油の関係にあります。
この問題を貿易と関税という力関係で解決しようとしても解決の道筋は見えません。


お互いの妥協点が見つからず第四弾が実行され、解決なく継続していった場合何が起きるでしょうか。大きく分けて以下3つが考えられます。
① 売上減少、コスト上昇(supply chainの見直し等に伴う)による各国企業の収益の低下
② 企業の投資減少、国家による技術囲い込み競争による技術発展の停滞
③ 世界経済成長率下落、インフレ昂進、各国税収低下、財政出動余力低迷


なんといっても恐ろしいのは①②③の結果、世界的危機に対する対応力が著しく低下することです。既に危険水域にある世界経済に一度コトが起きると回復するのが極めて困難になります。11年前のリーマンショック時、米国は政策金利を一挙に5%引き下げ0%に近い政策金利を維持し続けました。最近になってようやく2.5%に戻した段階にあります。しかし再びリーマンショック並みの危機が発生した場合、現行政策金利を0に下げてもその効果はリーマン対応時の半分程度に過ぎません。世界の先進各国もリーマンショック後の政策金利引き下げ、現状はほぼ金利ゼロのままです。


中国はリーマンショック時、4兆元もの財政支出をして自国並びに世界の危機回避に貢献しました。今回、貿易戦争の悪影響を避けるべく約2兆元の財政出動をしていると報じられています。もし再びリーマン級の危機に世界が見舞われた場合、中国の財政出動も限定的とならざるを得ないと危惧します。


自分のカラダが麻酔の十分に効かない状態にあるなら、大手術を要するような病巣が発見されないことを祈るしかありません。自国の政治的課題を解決するために、世界を巨大なリスクにさらすなら、麻酔なしの手術の痛みに耐える覚悟が問われます。
2019.04.04

優秀な血統のうそ

一昔前と比較すると、個人の満足度は格段に上昇しているのではないでしょうか。モノやサービスにコストがかからなくなってきたからです。必要なサービスのみにカネを払えばよいので、個人が保有しておかねばならない金銭は少なくて済みます。コストがかからないのに、提供されるモノやサービスの質はどんどん良くなっているのを実感します。

例えば情報。座ったままでkey wordを入れれば良いだけです。Googleなどがなかった頃には本屋や図書館を巡り歩いてようやくたどり着けるのは求めていた情報の一部に過ぎない、というのが普通でした。SNSがなかった頃、人と人のつながりは長い付き合いでもない限り限定的かつ浅薄なものに過ぎなかったのです。

音楽や動画、写真なども、驚くほど多様な選択肢の中から自分の好みの1つをたちどころに廉価で入手できるようになっており、医療分野においても多数の患者の画像データを蓄積、分析することでより正確な病名や治療法が見出されてゆくのでしょう。健康や長寿も夢物語の話ではなくなっています。満足度と幸福感がパラレルな関係にあるなら、人々は昔よりずっと幸せになっているのではないでしょうか。

事実を裏付ける真実の特定精度も向上してゆくことでしょう。
データ・サイエンティストと言われる人々は事実と相関性の高いデータを見つけ出すことを仕事としています。例えば優勝する確率が高い競馬馬はどのような特性をもっているのか、一般的には勝率は血統だと考えられており、馬主は血統の良い馬を高いコストをかけて入手しています。

ところが、あるサイエンティストは本当の特性を見事に言い当てることが出来ました。競馬馬が優勝できるか否かは左心室の大きさによると見抜いたのです。(「誰もが嘘をついている」Everybody liesより)今後、人類も世界も加速度的に進歩してゆくと思われますが、何がこうした満足感や進歩を支えるのでしょうか。

ゼロに近い値段でサービスを提供したり、真実にせまったり、を可能にしているのはデータです。企業は膨大なデータを収集、加工、提供して効果の高いソリューション(広告など)を提供し、そこから得た収入でサービスの利用料金を低下させるという循環を繰り返します。最近は「データの価値」にスポットライトがあたっており、世界に溢れるデータを集めることがこうしたビジネスを可能ならしめているのは事実でしょう。


ただ、既に長い月日が流れ今や当たり前の感覚になっていますが、データがその価値を実現させることができたのはアナログをデジタルに変える技術があったからです。血統が優れていてもタフな心臓がなければ勝負に勝てないという事実を見逃してはなりません。ビッグデータを形にしているタフな心臓。それはデジタル化技術ではないでしょうか。
2019.02.17

損をするのが好きな人

日本人は投資より貯蓄を選ぶ人が多いのですがなぜでしょうか。以下のような理由が考えられます。勤勉が美徳という昔からの教育の結果、「濡れ手に粟」のような利益を追求する投資はけしからんという倫理観に基づくもの、投資はリスクがあるので例え利息が微々たるものであっても損失の発生しない貯蓄のほうが安心であるという心理的安定志向によるもの、投資は難しくうまくいくかどうかわからないのに長い時間をかけて学ぶというのが面倒という時間対効果を重視した効率面からのもの等です。

日本と米国を比較した場合、この投資と貯蓄の割合が著しく異なることは毎年公表されている資金循環統計の比較により明らかです。家計金融資産に占める貯蓄の割合は、米国13%に対して、日本52.5%、株、投信等投資割合は米国48%に対して日本14.9%となっています。(2018.3末 資金循環統計)

いつまでたっても貯蓄偏重の傾向から抜け出せないことに問題意識を持った政府はNISAなど新制度を導入して貯蓄から投資への流れを作ろうとしました。NISAとは一定額の投資から生じる利益に対して通常ならかかる税金を0にするというものです。

問題は利益に税金がかからないようにすれば人々は貯蓄より投資を選択するようになるのか、ということです。利益がでても20%近い税金がかからないのはありがたいことではありますが、投資は利益がでることもあれば、損がでることもあります。一般的に人々が投資に向かわないのは「損をするのが嫌だから」という気持ちによるところが大きいのではないでしょうか。

利益に税金がかからないと言われて、それでは投資してみようと思う人がどのくらいいるのか、よくわかりません。特に貯蓄から投資への流れを作るという趣旨から考えると、初めて投資を考えている人の背中を押すには損が出ても一定の救済措置がある方が有効だと思われます。

具体的には給与収入から投資損失を一定額控除出来るという税制を導入するというのはどうでしょう。現在の証券税制において、損失が控除できるのは有価証券の利益との間のみとなっています。投資損失が出ても収入からも損失を控除できるならリスクはとりやすいと思われます。

損をするのが好きな人は日本にも米国にもいないはずです。ただ、有価証券からの損益通算に加えて、他の収入からも一定額損失控除できるという税制を導入している米国で、貯蓄より投資を選択する人が多いというのは自然なこと。貯蓄と投資の割合に差がでるのは国民性というよりも税制の違いにあり、ということかもしれません。
2019.01.30

市場はリスクをおり込んだのか?

昨年末から年始にかけて世界の株式市場は大荒れとなりました。日経平均は何度も20,000円を割り込み2019年はどのような年になるのか、今後の世界はどのように動いていくのか、いやな予感に包まれた年明けでした。


年末の25日、日経平均は1日で1,010円も下げ2018年最大の下落となりました。とんだクリスマスプレゼントを受け取ったわけですがこのプレゼント、送り主はトランプ大統領。議会との溝拡大、FRB議長の解任言及などを嫌気した市場は1,000ドルを超える下げで応え、その流れを日本市場が引き継いだのでした。


続いて20,000円を割り込んだのは本年4日の大発会。28日の大納会と比べて452円安ととんだお年玉を受け取ったのでしたが、このお年玉送り主はアップルのクックCEO。前日3日アップルの業績の下方修正発表により、NYダウは660$の下落、その流れを引き継いでの日本株の下げでした。また、3日の円ドルレートは一時104円台と数分間で5円も急騰(ドル安)しました。米中の貿易戦争は中国企業への悪影響が大きいと思われていたところ、米国への影響も予想外に大きいというショックがさらにダウの下げを加速したということでしょう。


さすがにここまで世界を揺るがす事態となると、根本的対応をせざるを得ないということで金融面ではFRBが利上げスピードを抑える方向に転換、米中も貿易戦争の解決に向けて妥協点を真剣に探り始めているようです。こうした流れを市場が織り込み始めているわけですが、果たして今後株価も底を打ってめでたしめでたしとなるのでしょうか。
残念ながらそうは思えません。


現在、市場変動の背後にあるのは複合的リスクだからです。中国と米国という二巨大市場で貿易というモノの流れが停滞し始めており、その影響が他の先進国や新興国に広がるので世界経済が減速するのは明白です。また金融(カネ)面では、リーマンショックの影響を吸収すべく世界中の中央銀行が緩和策を続けてきたマネーが吸収されずに溢れかえったったままです。カネの行き場がないのにモノの流れが制限され、実体経済にカネが回っていかなければカネの価値は下がり経済は低迷します。


これまで起きてきた世界危機は原因となった国が限定され、時間的にもタイムラグを伴っていました。またその影響の拡散を防ぐため、各国が協調して手を打つことでなんとか乗り越えてきたというのが実態です。


今回の米中貿易戦争はその何れもが異なります。世界の主要国が共通の認識と方向性をもって解決にあたる道筋が見えれば、やがて市場の行き過ぎが是正されるというのが「リスクの織り込み」ということでしょうが、歩調が合っているとは言い難いのが現実。過去に例を見ない形の今回の危機、どのような結末を迎えるのか注意深く見ておく必要があります。
2018.12.18

危険水域

日米共に、株価の下落幅拡大が目立つようになってきました。株価はEPS(一株利益)とPER(株価収益率)の積で決まりますが、この2つが今後も下落するリスクが高まっています。背景は米中貿易戦争と米中先端技術の主導権争いです。


米中両国が高い関税をかけあえば、お互いの輸出低下につながります。企業にとってみると既存の販売先が縮小するので、売上げが減少します。またコストを最小化すべく世界中に張り巡らされたサプライチェーンは再構築を迫られ、過剰な経費を負担することになるでしょう。この結果、企業は売上げ減少、コスト上昇、利益減少により予測EPSは低下を免れません。


一方、関税のかけ合いは両国の経済成長を低下させるので、GDPNo.1,2の成長低下により世界の他の国々への影響は計り知れものとなること必定です。また関税のかけ合いは輸入物価の上昇を意味するので消費(GDPに占める割合最大)を低下させます。最終的に、両国の消費者がそのつけを払わされることになってしまいます。


ざっくり言うと、一国の名目GDPは市場PERの分子(株式時価総額)に連動しているので、経済の縮小なら予測市場PERは低下してゆくことになります。かくして、予測個別EPSと予測市場PERは手を携えるようにして低下してゆき、その積である個別株価の下落は不可避となってしまいます。


今月3日、米国で逆イールド・スプレッド現象が発生しました。(2年債と5年債の利回り逆転。2年債:2.82%、5年債:2.81%)2年と5年のイールド・スプレッドはその後も継続しています。過去逆イールド・スプレッドは過去2回発生しており、発生後しばらくして大きな経済危機が起きています。一回目はITバブル崩壊、2回目は住宅バブル崩壊です。


債券利回りは長期のものほど高く、短期物は低いのが正常な姿なので、この逆転発生が意味するところは、足元よりも将来のほうが景気悪化するという不気味なサインであります。(通常yield spreadは2年債と10年債で比較することになっており、今のところ10年債との比較では逆イールドを免れている。3日の10年債利回り:2.97%)


債券や株は将来を敏感に反映します。両者とも現状が危険水域にあることを警告しているようです。
2018.12.04

行列の出来る店@ワイキキ

ハワイのオアフ島、アラモアナ公園から西に向かって大規模な開発が進んでいます。ワードという新たに開発の進んでいる地区には、新しいコンドミニアム、whole foods(Amazonが買収したスーパーマーケット、品揃え豊富で新鮮な素材を扱っていることで有名)ショッピングゾーン等が広がっており、昔は倉庫地帯であったこの場所がオシャレな一帯に変身を遂げつつあります。

この開発はさらに西に延びており、何年か先(2025予定のようです)にはカポレイ(真珠湾西側)を起点として、空港を通りハワイ最大の人気商業施設「アラモアナショッピングセンター」まで電車が通るそうです。アメリカはハワイに限らず車社会が常識で、そもそも電車が通ることが珍しいので、これは画期的なプロジェクト。電車はワイキキ地域には乗り入れないので、ワイキキのホテルに宿泊する観光客はアラモアナで下車してタクシーかバスに乗り換えるということになると思われます。

ワイキキエリアでいつ行っても行列が出来ている店があります。1つはカラカウア通りに面したEggs’ Things。卵を使った朝食と、ホイップクリームとナッツが贅沢に乗っているパンケーキがウリの店。価格は$10~$13とお手頃で、大きく開いた窓からはワイキキビーチが目の前というロケーション。同じ食事をするなら景色の良いところを選びたい、ということで並んででも待つということなのでしょう。ホイップクリームの盛りっぷりも人気の秘密と思いました。

もう1つは道路を一本内陸に入ったクヒオ通り沿いにある丸亀製麺。ハワイにうどんはミスマッチな感じがするので、何故こんなに人気があるのか正直、理解に苦しんだ挙句メニューを見てみました。うどん、てんぷらなど日本よりも値段は高めですが、物価の高いハワイにあってこの値段は価格破壊の域にあり、出来たものを自分でテーブルに持っていくセルフ方式なのでチップも不要。 日本の料理は高いのが常識となっているのでこの値段はウケるのでしょう。開店時間も7:00~22:00と、いつ行っても並びさえすれば食べられるので時間を気にする必要もありません。

番外編は、Ruth’s Chris Steak House.ワイキキ・ビーチ・ウオークの2階。17:00開店ですがその前から店の前には行列が出来ています。ステーキハウスなので値は張りますが実に美味。米国農務省認定の最高級熟成牛肉を980°で焼き上げた肉が供されます。店の説明によれば、この店はもとニューオーリンズに住むルースさんが自分のレシピによるステーキハウスを開設するにあたり、自宅を抵当に入れて開始し、同地で営業したところ高い評判を得て、全米各地に展開するに至ったとのことです。

どの店も国籍や人種に関係なく行列ができる店ということになりますが、いくつか共通項があるように思います。一言で言うと4つのPがターゲットとする顧客の基準にマッチしているということです。(マーケティング戦略4つのP:price/place/product/promotion)
どの一つが欠けても行列はできないか、長くは続かないということになるのだと思われます。
2018.10.27

Sound Cruising 2018

六本木、赤坂にあるライブハウス13軒。チケット代5000円也で5日間、期間中なら行ってみたいところに何回でも、というライブミュージック大サービス企画。今回初めてチケット購入し、何軒か行ってみました。

驚くなかれ、どこのライブハウスも満席。ジャズのみならず、ブルースやpopsなど幅広いジャンル、店ごとに出演者も多士済々、1杯1000円の飲み物をオーダーすること以外、何のコストもかからないのでこれまで行ったことのなかったライブハウスにも気軽に足を運ぶことができます。

この企画の優れているところは、客にもミュジシャンにも、店にも(多分)メリットがあるところ。通常、ライブハウスにはミュージック チャージ(3000円~4000円)があり、加えて客は飲食費を払って音楽を楽しむということになっています。1軒の店で腰を落ち着けてひいきのミュジシャンの歌や演奏を聴くということになるので、他のライブハスやミュジシャンに巡り合うチャンスは制限されてしまいます。しかし、この企画に乗っかるとこれまで知らなかった店やミュジシャンをたくさん知ることになります。

また、特別なPRをしなくとも見たり聴いたりしてもらう機会をどんどん増やすことが出来るので、ミュジシャンにとってもありがたいイベントとなっていると思われます。音楽の場合、実際に来てもらって聴いてもらい、雰囲気を味わってもらわなければその魅力は十分に伝わりません。まさか道で客引きをするわけにもいかず、同じお客に足を運んでもらうにも限度があるでしょうから、見込み客を増やすのが一番良いのです。しかしネットに写真を載せたりブログを書いたりによる新規開拓は限度があります。百聞は一見にしかずであります。

ライブハウスにとってのメリットはずばり、新規客開拓です。大体においてライブハウスは敷居が高く感じられ、気軽にひょいひょいはいるような所ではないというのが実感です。
固く閉ざされたドアの向こう側でどのような世界が繰り広げられているのかわからず、また一度入ったらなかなか抜け出しにくい雰囲気を感じて一歩踏み込む勇気を持てずにいる音楽愛好家も少なくないと思われます。そのような気持ちのバリアーを振り払ってくれる効果が期待できます。

もう一つ店にとっての経営上のメリットは、観客回転数が高くなることです。お客は1杯飲んで、その店での演奏を堪能したら、また別の店に出向いて1杯飲みながら違うミュジシャンの演奏を楽しむということが気楽にできるので、2~3軒ライブハウスのはしごをするのが普通です。店からすると1顧客の滞在時間が短く、入れ替わりでお客が入るので、顧客数は増えます。客単価は減っても、回転数増加で収入は確保できるでしょうし、各店ともcash on delivery(飲むたびに現金で決済)で統一しているので店舗運営コストも抑えられます。万一、十分に回収できなかったとしても広告宣伝費と考えれば安いものでしょう。

世の中は音楽の世界に限らず、異なる個人の好みを手軽に安く満足させられる方向に動いています。選択肢は多いほど良いというものではありませんが、各自の趣味嗜好にあった選択が出来やすくすることが、結果的にビジネスの繁栄にも繋がるのではないかと思わされたクルージングの一夜でした。